は、手にしていた受信紙を司令の前に出した。
気になる火星世界のニュース?
一体、それはどんなことであったろうか。そしてそれは、今、月世界において、怪人群のため捕虜《ほりょ》になっている風間三郎少年や、木曾九万一少年の身の上と、どんな関係があるのであろうか。
中佐のおどろき
司令は、めがねごしに、受信紙の上に書かれてある文字をひろう。
その文は、次のようなものであった。
偵察者213報告――火星人の月世界派遣隊により火星本国に向けて発せられた通信によると、その派遣隊は、地球人類の乗っている噴行艇一隻が月世界についたのを見た。また、その噴行艇の乗組員であるところの二名の日本人を捕虜にして、只今取調べ中である。なお、その噴行艇との間にはまだ戦いは始まっていない。
司令大竹中将の太い眉《まゆ》が、ぴくんとうごいた。
「ふーん、これは容易ならぬニュースではないか。のう、幕僚長」
司令は、そういって、机の前に立っている幕僚長の顔を見上げた。
「はい、はなはだ容易ならぬことでございます」
「月世界に、火星人の先遣隊《せんけんたい》がいっていたなどとは、わしは知らなかった。
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