たが、出発して五年のちにムーア彗星にあい、その後十年して、地球へ戻ってくる計算であった。なぜ帰りに十年もかかるかというと、全隊がムビウムを採取したのち、一つに集合するまでにもかなりの月日がかかるであろうし、いよいよそれを積みこめば、噴行艇の荷が重くなるため、帰り道は行くときより日がかかると思われるし、また万一何か故障があったときのことも考えて、充分安全なように、その十年という年月のゆとりをおいたのであった。
さて話は元へ戻る。ここは司令艇の司令室であった。
司令大竹中将が、めがねをかけて、書類をしらべているところへ、幕僚長が先頭に、数人の幕僚をひきい何か昂奮《こうふん》している様子で部屋へ入ってきた。
「司令。会議の時刻になりました」
と、幕僚長がいえば、大竹司令は、めがねをはずして、
「おお、もうそんな時刻になったか。今、例の火星世界の偵察報告を夢中になってよんでいたが、中々前途多難じゃね」
司令のめがねは、火星世界の偵察報告の開かれたページの上におかれた。
「はい、司令。そのことでございますが、実は只今、ちょっと気になる火星世界のニュースがまた一つ入りました」
と、幕僚長
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