たので安心した。
その艇長は、腕時計をちょっと見て、それからまた別な号令をかけた。
「窓を開け!」
すると信号員が、窓を開けと、号令をくりかえした。
窓が開くのだ。
ごとごとごとと、妙な音がきこえたと思ったら、急にあたりがしずかになった。それまでにきこえていたエンジンのひびきも、司令塔内の話ごえも、みな急に消えてしまった。なんだか気がとおくなりそうであった。三郎はあわてて、あたりをきょろきょろ見まわした。
それと気がついたのであろう、艇長は三郎の腕を、ぎゅっとつかんでくれた。
「あ、艇長……」
と、三郎は叫んだ。がそのこえは、いつものこえとはちがって、たよりなかった。
「おい、風間艇夫。おどろいちゃいけないね。お前も、日本少年じゃないか。しっかりしろ」
艇長のこえが、三郎の耳もとで、がんがんとひびいた。
三郎は、艇長のこえに、元気をとりもどした。
「すみません、すみません」
三郎は叫んだ。
「おい艇夫、お前は何かいっているらしいが、喋るときはお前の兜から下っている二本の触角を、わしの触角につけてから喋らないと、お前が何をいっているのやら、わしには一向お前の声がきこえな
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