にそんなことをいった。コーヒーは、なかなかさめなかった。
そのときであった。噴行艇は、ものすごい音をたてて震動した。今にも、艇はばらばらに壊れそうなくらいに、がんがんびしびしと鳴りだした。
「やっ、どうした?」
艇長が立ち上るのと、非常電話器から、当直長のこえがとびだすのと、同時であった。
「艇長。非常報告。只今本艇に向けて、宇宙塵《うちゅうじん》が雹《ひょう》のように襲来しました。損害調査中です」
宇宙塵? 宇宙塵とは、何であろうか。
宇宙塵《うちゅうじん》
震動は、すこし止《や》んだかと思うと、またばらばらがんがんと、ひどくゆれた。
「宇宙塵か。相当ひどい宇宙塵だ」
艇長は、壁のところへとんでいって、棚から帽子を出して、かぶった。
「お出かけになりますか」
「うん、司令室へ入る」
「宇宙塵とは、なんですか」
「そんなことは、誰《だれ》か他の者に聞け。今、それを説明しているひまはない」
そうでもあろう。
艇長は、室を横ぎって、出入口の方へ。
「艇長。コーヒーはおのみになりませんか」
「おお、そうだ。コーヒーをのもうと思っていて、忘れていた。おれも、よほどあ
前へ
次へ
全115ページ中29ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング