しまったのだ」
「ああ、それでは引力遮断機が働いてしまったのだ……。何も私たちはあの二少年をひどい眼には合わせませんぞ、ただ詳しく地球のことが聞きたかっただけです」
「しかし君たちは非常に日本語がうまいじゃないか、どうして日本語を知っているんだね」
「なんでもありませんよ、私たちは地球から放送されているラジオを聞いて勉強したんです、毎日地球のラジオニュースを聞いていますから、地球上のことなら大てい知っています」
「ふーむ」
 幕僚は、びっくりしたように、うなった。あの天外の火星で、毎日地球のラジオを聞いて研究している者があるとは知らなかった。
「ふーむ、で、その引力遮断機というのはどうなっているんだね」
「なんでもありませんよ、その名のように引力を打消してしまう装置です、つまり月の上に置いて月の引力を打消し、われわれの火星の引力を受けるようにすれば、自然に舞上って火星に引かれて行ってしまうわけです。同じように月に来る時も、われわれの火星の引力を打消して月の引力に引ッ張られて来るわけです」
「ふーん、なるほどね。しかし火星人たる君たちが、こんな荒れ果てた月世界に来てどうするんだね、同じ来
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