のだから――。
“……このヒイラギ山のがけより舞上れる飛空機を見て、彼ら火星人たちの驚愕狼狽ぶりは一方ならず、追跡せるわれわれも思わず苦笑せるほどなり”
そうかも知れない。火星人らもまた、第四斥候隊の行動は知らぬ筈なのだ。
火星人弱る
第五斥候隊の報告は、まだ続いていた。
“かくして火星人らが狼狽なすところを知らざる中《うち》に、飛空機は一刻も休みなく、上昇をつづけつつあり、遂《つい》に、大空高く消え去《う》せたり……”
「ああ……」
幕僚は、辻艇長の顔を一寸《ちょっと》ぬすみ見て、溜息《ためいき》をついた。辻艇長の横顔には、第四斥候隊を心配する色が、ありありと浮んでいた。
“仲間の飛空機に飛び去られ、月世界上に置去りを食った火星人らは、全く元気を失いて、遂に全員十匹はわが隊に降伏せり、なお愕《おど》ろくべきことには、彼等は明瞭《めいりょう》なる日本語を話すことを発見せり、わが隊はこれより彼らを連行し、直ちに帰艇せんとす、終り”
これで、第五斥候隊からの報告は終った。
「ふーん、飛空機に置いてきぼりを食った彼らは、遂にネ[#「ネ」に傍点]を上げたと見えるな、どんな
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