イラギ山のかげより巨大な皿の如きものが空中に舞上れるを望見したり……”
「うむ、それが第四斥候隊の乗った火星人の乗物だったのだ」
艇長は、唇《くちびる》を噛《か》んだ。もう一刻早ければ間に合ったかも知れないのに――。
先ほどの、第四斥候隊の報告と合わせて考えて見ると、この第五斥候隊に追われて逃げて来た火星人を、第四斥候隊の方は自分たちを襲撃して来たものと思って全部の出入口を閉じた途端《とたん》この皿のような乗物が、自然に飛び出してしまったのだ――ということがわかった。
さて、では火星人たちはどうしただろうか。報告が、つづいてはいって来た。
“……思うに、この奇怪なる皿の如きものは、火星人の飛空機らしく、わが隊に追跡を受けつつある火星人を見て、この火星人らを救う遑《いとま》もなく、あわてて彼らを置去りにしたまま逃走せるものの如し”
この報告が間違っていることは、読者諸君はすでに御承知であろう。しかし第五斥候隊は、まだその間の事情を知らないのだから、そう思ったのも無理はない。まさか、その火星の飛空機の中に、同僚の第四斥候隊と、風間、木曾の両少年が乗っていようとは、夢にも知らぬことな
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