眼をおおいました。やつは悪魔です。でもあなたが無事に元気にかえってこられて、こんな喜ばしいことはありません。あの時、例の中国人少年石福海が、御恩がえしに、あなたをたすけにゆくといって、艇外へとびだそうとするのには、ほんとうにこまりました」
艇長がかたる少年の話に、太刀川はふと気がつき、
「ああ、石少年ですか。どこにいます」
「ここにいますよ。あなたの右手をにぎっているのが石少年です」
「おお石福海! お前は――」
「ああ太刀川先生、じっとして、先生の手、氷のように死んでいる。わたしすぐあたためて、生かしてあげる。はあ、はあ」
石少年は、返事するのもおしい様子で、彼の右手へ、一生けんめいに息をはきかけているのであった。
(石福海は、こんなに僕のことを思っていてくれるのか!)
太刀川の目頭は、急にあつくなった。彼は、じつと目をとじて、石少年のあたたかい息を感じるのであった。いじらしい石少年よ。その時、
「艇長! スミス操縦長からの伝言です」
「おお、なんだ」
「本艇は、艇長の命令により、二千メートルの下降をおわりました。やがて雲の下に出られる見こみがたちました」
「そうか、ついに暴風
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