くひっかけられたかたちだ。しかし見ていろ。いまにお前たちは、おれの前に平つくばってお助け下さいと言うようになるぞ」
「何をぬかす、この強盗殺人めが!」
 と、艇員のひとりが、ケレンコの横面を力一ぱいなぐりつけた。
 こうして、ケレンコは、ともかくもかたづいた。だが艇外の大冒険はどうなったであろうか。
 これをたくらんだ太刀川時夫は、大男のリーロフをたくみに艇外にさそいだして、ケレンコをおさえる機会をつくったのだ。
 はたしてケレンコは、あっけなくつかまり、リーロフは、大きな体をふきとばされまいとして、力のかぎり、尾翼のつけね[#「つけね」に傍点]にとりついている。もちろん彼は、ケレンコがとりおさえられたことなど、知るよしもない。


   空中の惨事


 太刀川時夫は今、はげしい風雨とたたかいながら、方向舵の故障を必死になおしている。手はこごえる。呼吸はくるしい。
「さあ、リーロフ。方向舵のその折れまがったところを、君のもっている斧で切りはなしてくれ」
 そういう太刀川の注文も、声では相手に通じないので、手まねで合図をするよりしかたがない。
「斧で切りはなしてくれだって……それより、
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