用意してまいりました。さあすぐおのり下さい。いま潜水扉をあけます」
「うむ」ケレンコは、なにか、ひとりでうなずきつつ、太刀川をうながして、迎えの潜水艦の胴中についている潜水扉から、艦内へはいった。
太刀川もケレンコにつづいて艦内へはいったが、とたんに通路のむこうから、こっちを見てにやにや笑っている体の大きい士官の顔!
あ、リーロフ大佐だ! 本もの[#「もの」に傍点]のリーロフ大佐だ!
万事休す
「あ、リーロフ大佐だ!」
太刀川時夫は、潜水着の中で、おもわずさけんだ。
無理もない。リーロフの潜水着をきて、リーロフになりすましているところへ、本もの[#「もの」に傍点]のリーロフ大佐があらわれたのである。
(錨にしばりつけたはずのあのリーロフが?)
そんなことを考えてみる余裕さえなかった。
太刀川時夫の運命は、きまった。太平洋魔城の大秘密を、ことごとく見てしまった以上、生きて日本へかえされるはずはない。
逃げるか?
とっさに考えて、あたりを見まわしたが、潜水扉は、すでに水兵の手で、ぴたりととじられてしまい、その前に、二人のたくましい哨兵が、こっちへ逃げてきてもだ
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