から三つの顔がこっちをのぞいている。
 しかも三つとも、生きていた。さもおどろいたように目を見ひらき、そして大きく口をあけた。それだけではない。その中の一つの首に、太刀川はたしかに見おぼえがあったのである。
「ダン艇長!」
 いうまでもなく、海底要塞附近で墜落したサウス・クリパー艇の艇長のことである。彼は艇と運命をともにして、波にのまれてしまったかとおもわれたのに、意外にも、こんなふしぎな塔の中で生きていたのである。
「おお、ダン艇長! あなたはどうしてそんなところにいるのですか」
 太刀川青年は、水中灯を高くかかげて、煙突様の塔を硝子《ガラス》ごしにたたきながらいった。
 だが、中からはなんの返事もきこえなかった。三つの首は、とつぜんおどろきの色をうかべると、いいあわしたように窓の内側にひっこんでしまった。
「おう、待ってください、ダン艇長」
 太刀川は、窓硝子をわれそうなほど、こんこんとたたいた。しかし内側にひっこんだ首は、そのまま出てこなかった。
 なにがなにやら、わからないながら、太刀川は、ダン艇長の生きている姿を見つけたうれしさで、しばらくはその場をうごこうともしなかった。

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