いぞ」
「ちぇ、もう吸血鬼の話は、たくさんですよ」
「文句をいわないで、早く船腹の、こわれたところから入りこむんだ」
「へえ、へえ、――」
 隊員たちは、爆薬や水中ハンマーや綱や機関銃などをかついだまま、海底によこたわっている英国商船の中に、ぞろぞろとはいこんで行った。
 それから間もなく、がたがたいうひびきや、綱をひっぱるらしいえいえいというかけ声などが、聞えだした。
 隊員たちが作業にとりかかったのを、見さだめると、太刀川青年はしばらくその場にたたずみ、高くそびえる海底要塞の様子をうかがったのであった。
 あいにく要塞の側面から発する数十条のつよい照明灯がまぶしく目を射て、こまかいところはわからないが、はるか上の方に、あやしげなりんかく[#「りんかく」に傍点]が、はけ[#「はけ」に傍点]でかいたようにぼーっとうかびでている。それは海底から、はえあがった古城のようだといったがいいか、それともアルプスの峰々が海底にしずんだといったがいいか、見れば見るほど、ものすごい大じかけのものであった。
 ケレンコは、日本攻略のために、これをきずいたといった。だが日本攻略にあたって、これは一たい、ど
前へ 次へ
全194ページ中132ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング