フは、ふらふらと立ち上って、電話器のところへいって、受話器をとりあげた。
「はあ、リーロフです。え、なんですって。さっき沈めたイギリスの商船の中から、こっちで使えそうな貨物をひっぱりだせというのですか。なに、私にその指揮を? ふーん、私はそんなまねはいやでござんすよ」
リーロフは、もうぐでんぐでんによっていた。受話器をもったまま、かたわらの安楽椅子のうえに、だらしなく尻をおろした。やはり電話の相手は、ケレンコ委員長であった。
「いいえ、ちがいますよ、委員長。私は酒なんぞに酔っていませんよ。第一酔うほどに、酒がないじゃありませんか」
といっていたが、その時ケレンコからなにをいわれたか、急ににやりと笑顔になって受話器をにぎりなおした。
「え、ガルスキーを免職させて、私を副司令にもってゆく。そりゃほんとうですか。ははあ、そいつはわるくありませんよ。この仕事はじめに、潜水隊員をひきいて、沈没商船のところへゆけというのなら、ゆかないこともありませんね。――なになに、その沈没商船は私のすきなイギリス産のすてきなウイスキーも積んでいるのですか。ほう、そいつは気に入った。それにしても委員長は、人を
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