刀川の行方をさがさせることにした。
 要所要所をかためてしまえば、いくら逃げまわったところで、要塞外に逃げ出すことは出来ないのだ。
 ケレンコは、もうふだんのおちつきをとりもどしていた。
 潜水将校リーロフは、一さいの手配をおえると、むしゃくしゃしながら自分の部屋へかえった。腰骨のところもいたいが、それよりも、あの小男の太刀川にとっちめられたことが、しゃくにさわってならないのだ。彼はつよい酒をとりよせて、大きなコップでがぶがぶやった。
「うーん、いまいましい日本の小僧だ。こんどつかまえたら、おのれ………!」
 酒壜は見る見る底が見えてきた。
「なんだ。もうおしまいか。たったこれだけじゃ、第一酔いがまわってこないじゃないか、うーい」
 そうはいうものの、顔は、もうトマトのように赤かった。
 そこへ電話のベルがじりじりなりだした。
「ええい、うるさい」
 リーロフは、空の酒壜を逆手《さかて》にとって、電話器になげつけた。
 壜はがちゃんとわれて、破片が、そこら一面とびちったが、電話のベルはなおもじりじりと、なりつづける。
「ふーん、またケレンコの呼び出しだろう。うるさい大将だて」
 リーロ
前へ 次へ
全194ページ中118ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング