拳銃が一せいに太刀川の胸をねらって、ぴたりと、とまったのである。
 室内にみなぎるすさまじい殺気。
 ああ、快男児太刀川時夫も、ついに最期《さいご》の時が来たのか。
 もとより国にささげた体なら、すてる命は惜しくない。だが、太平洋の底には、日本をねらう恐るべき海底要塞が、夜を日についで建造をいそいでいるのだ。自分が死んだらその秘密は誰が祖国に知らすのだ。
 一秒、二秒、三秒……
 息づまるような無気味な瞬間だった。
 ぶぶう――、ぶぶう――
 突然、耳をつんざくけたたましい非常警報のサイレンが鳴り出したのである。
「あ」
 扉のそばに立っていたリーロフが叫んだ。
 つづいて何やらわめき合う人声、どたどたどたどた混雑する足音が、廊下の方から聞え出した。
 ケレンコは、さっと立ちあがって、
「おい、リーロフ、君は、太刀川をこの部屋に閉じこめて見張をつけておけ、わが輩は、司令室に行く、手配がすんだら君も後からすぐにやって来い」
 そういいすてて、ケレンコは、とぶようにして部屋を出て行った。
 一たい何事が起ったのか。


   海底司令室


 ぶぶうー、ぶぶうー。
 妙に心をかきみだすよう
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