うだ太刀川君、報酬はのぞみ次第だ。一つここで、うんと働いてみる気はないかね」
 悪がしこいケレンコは、さすがに大ものらしく、事もなげにいってのけるのであった。
 すると、それまでじっと聞いていた太刀川青年は、いきなり笑い出したのである。
「ケレンコ君、いろいろ面白い話をありがとう。いや君の親切には感謝する。君はだいぶものしりだと聞いていたが、実は案外のようだね。君は日本人がどんな国民であるか、てんで知っていないじゃないか。日本人は、国のためなら命も喜んですてる。その日本人に、金で国を売るようなことをさせようたってそりゃむだだよ。ケレンコ君。折角だがおことわりだ」
 それを聞くと、さすがのケレンコも、眉をぴくりとうごかして顔をこわばらせた。この青二才めがと、思ったのであろう。が、もちろんそんな気持をそのまま言葉の上にあらわすようななまやさしい彼ではない。
「ははは……太刀川君、ずいぶん君は、かたいことをいう人だね。いやしかし、それでこそ日本人だ。われわれがこの重大な秘密をぶちあけて、君の助を借りようとするのも、それなればこそだ。だが、太刀川君、もう一度よく考えてみたまえ。われわれが許さな
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