える相手ではない。早くひけ」
 見ると、部屋のすみの入口に、覆面、黒の法服のようなものをまとった大男が、銃剣を持った水兵を従えて、じっと、こちらを見つめているのである。
「太刀川君、どうぞ、こちらへ」
「おや」その声のどこかに、聞きおぼえがあるような気がしたが、どうしても思い出せない。
 太平洋の底に、自分を知るものがいる?
 太刀川は、しばらくは茫然と立ちすくんで声も出なかった。


   おお恐るべき海底要塞


 ガーンガーンガーン、エンジンらしい音。
 ゴーゴーガタガタ、工事らしい音。
 そんな音がすぐ近くに聞える。要所要所に、銃剣を持った水兵が立っている。
 太刀川は、みちびかれるままに、長い廊下をいくつかまがって、とある大きな部屋へ通された。
 そこは、まるで法廷のような感じのいかめしい部屋であった。大きな長方形のテーブルをかこんで、覆面黒服の男が十人ばかり、そのまん中に、首領らしい男が、どっかり腰をおろしている。
 すでに覚悟のできている太刀川は、臆する色もなく、一同をじろりとにらめわたしながら、悠然とつったっている。かの首領らしい男は、始めて口を開いた。
「ははは……、
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