《ろっこつ》を一本とってそれからイヴという美しい女を作り給うた、というのは、形式的には神様のなせる業《わざ》ではあるようなものの、その考えは、無論、人間の頭脳から発生したことは言うまでもない。
 古事記によると、我が国の神達は、盛んに国土を産み、いろいろ特殊の専門というか、技術を弁《わきま》えられたさまざまの神々達を産むことに成功し給うたと書いてある。これも、人造人間の思想と見てさしつかえないであろうと思う。
     *   *
 幼いとき、小学校の「山羊《やぎ》」という綽名《あだな》のある校長さんから、面白いお伽噺《とぎばなし》をして貰ったが、その中で、最もよく覚えているのは、こんな噺であった。
 宝を探しに行く兄弟のうち、末の弟は大変情けぶかい子であったが、それがために、秘術を教わった。その秘術というは、なんでも木片《もくへん》をナイフでけずって、小楊子《こようじ》みたいなものを造り、それを叩いて「動け!」というと、その木屑が、起《た》ちあがってヒョックリ、ヒョックリ躍り出す。そのとき、もう一度、それを手で叩いて、「成《な》れ!」というと、その木屑の一つが、立派な一人の兵士になる
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