って来て、みなさんの前に、円満な顔をニコニコさせて御挨拶《ごあいさつ》があった。
     *   *
 二月一日の東京朝日には、宮津《みやづ》電話として次のような記事が載っていた。
「ロボット流行時代であるが、京都府宮津中学校の四年生岡山大助君という少年が今度、人造犬《じんぞういぬ》を発明した、これは犬の腹中《ふくちゅう》に電話器、モートル、電磁石、高圧器、真空管、スピーカー等を材料にして、でっちあげた機械がしかけてあるので、大助君の先生も手伝った。この人造犬は、足音をさせたり口笛を吹いたりすると、その音が送話器から電流を通じてモートルに働きかけ、その結果として犬は後退《あとじさ》りをしながら「ウーウー」とうなる。うなり声はスピーカーによって大きくもなれば小さくもなる。というから泥棒よけにはあつらえ向きだ」とある。
 いよいよ、油断も、隙もならぬ世の中となってきた。
     *   *
 この種の人造人間《ロボット》は、いつから人間の脳裏《のうり》に浮びあがったかというと、それは随分と古いものらしい。ギリシャ神話の中にもそれがあったように思う。
 エデンの園《その》で、アダムの肋骨
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