ふかしたり、帽子をとってお辞儀をしたり、お酒を呑んでみせたりした。
* *
近代的な人造人間は、こちらから人造人間に喋ると、それに応じて、返事をしたり、または、その命令どおりに行動するのである。これは、人造人間の中に、ラジオで使うのと同じマイクロフォンが備えつけてあり、それを通じて、音声が電流となり、その電流を、ラジオの増幅器《アンプリファイヤー》と同じもので大きい電流に直し、それを選択器《セレクター》に入れて、人造人間に言われた命令が如何なる意味のものであるかを分析し、それによって、恰度《ちょうど》、自動ピアノの孔のあいたロール紙のようなものが沢山並んでいるその一つが働き出す。それには、其後の人造人間の行動のスケジュールがちゃんと記録されて居るから、機械力が適当に働いて、その定められたとおりの歩行や、運搬や、開閉やを行い、又はちょうど、トーキーのフィルムのようなものが働き出して、人造人間の口のあたりからラウドスピーカーを通じて、「ロボットの御返答」として人造人間の声をきくことも出来るのである。
しかし、人造人間への命令や、質問の文句は、非常に簡単で、しかもある特定の
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