も》しも瓦斯がだんだん溜《たま》って来て危険が近づいて来ると直ちに声をあげ、警戒を与えると共に、電話をかけて事務所へ知らせる。瓦斯がどの位溜ってきても平気でそれを刻々報告する。そして大爆発がおこると、そのままテレボックスは、殉職《じゅんしょく》をしてしまうわけだが、こんな危険な役目をひきうけ、しかも人間わざでは到底《とうてい》出来ない正確さで、報告をするところなどは、人造人間でなければ、どうしたってできる真似ではない。
或る人の話によると、テレボックスは、自分が働いているうちに内部の器械の故障のために働きがわるくなると早速《さっそく》、組長に電話をかけて、身体の工合のわるいことを報告して来るのが居るそうである。
* *
紐育《ニューヨーク》の博物館には、人造人間の番人が居て観覧人が入って行くと、「どうぞ、記録帖に、御記名下さい」と呼びかけて来るそうである。
この種の人造人間は、泥棒よけには、もって来いである。真暗な邸宅の中に、泥棒が入って来て、震動をさせたり、或いは、懐中電灯をサッと向けると、「泥棒、そこをうごくな」と怒鳴って警笛をならし、警察へ電話をかける。泥棒が
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