醤は、これを見て、ちょっと顔色をかえたが、すぐ思い直したように、瘠《や》せた肩をそびやかせて、強《し》いて笑顔をつくった。
「ははは、たとい、あの何万の原地人が攻めて来ても、われには人造人間戦車隊があるんだ。鋼鉄製《こうてつせい》の人造人間に命令電波をさっと送れば、たちまち鋼鉄の戦車となって、貴様たちを、苺《いちご》クリームのように潰《つぶ》し去るであろう。わが機械化兵団の偉力《いりょく》を、今に思いしらせてやるぞ」
と、そこまでは、威勢《いせい》のいい声を出して、見得《みえ》を切ったが、その後で、急に情《なさ》けない声になって、
「……しかし、大丈夫かなあ。油学士の奴、おちついていやがって、部分品を作って数を揃えたはいいが、未だに試験をしていないのだ。電波のスイッチを入れたとたんに、うまくスクラムとやらを組んで戦車になってくれればいいが、万一人造人間の愚鈍《ぐどん》な進軍だけが続くようでは、原地人軍は、その間に人造人間の頭の上をとび越えて、わが陣営へ攻めこんでくるであろう。ふーむ、こんなにわしに心痛《しんつう》をさせるあの油学士の奴は、憎んでもあまりある奴じゃ」
すると、うしろで
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