れが科学的に実行できないことにしろ、彼の鋭い判断にはブツリと心臓を刺されるの想いがあった。
帆村探偵は、かえす言葉もなく、電話を切った。
考えてみると、まことに残念でもあり、奇怪な事件である。彼は時計を見た。丁度午後二時である。彼は昨夜の現場へ再び行ってみることにした。
河岸《かし》ぶちの博士邸をめぐって、どこから集ったのか弥次馬が蝟集《いしゅう》していた。彼等の重《かさな》りあった背中を分けてゆくのにひと苦労をしなければならなかった。
邸内の警戒は、昨夜よりも厳重を極《きわ》めていた。彼は見知りごしの警官に挨拶をして、三階の広間へトントンと上っていった。
「ほう、君はまだ非番にならないかネ」
と、帆村は昨夜から顔を見せている警官に云った。
「駄目なんですよ。私が最初にここへ来たものですから、現場を動けないことになっています。もっともときどき交代で、下へ行って寝て来ますがネ。お得意の手で早く犯人を決めて下さいよ、ねえ帆村さん」
「ウフ、そのお得意のお呪《まじな》いをするために、こうしてやって来たわけなんだよ。だが、どうも人殺しのあった部屋というのは、急に陰気に見えていけないネ
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