えッウララ夫人? 夫人はとうとう捕ったのですか。どこに居たのですか」
「なあにサンタマリア病院に入院していたのだよ。別に大した病気でもないのだがネ」
「するとあのジョン・マクレオは怪しくないのですか」
「マクレオは午後二時から午後九時半までずっと病院にいたことが分った。あの外人の現場不在証明《アリバイ》は完全だ」
「そうですか。馬話丈太郎も完全なのでしょう」
「そうだ。あの男は放送局に居たことが証明された。結局残るのはウララ夫人と、耳の聞えないばあやの二人た。ばあやはウララ夫人が外出から帰ってのち、使いに山の手までやられたのだが、その足で警察へ駈けこんだ。ばあやは博士が殺害されるとき、あの家に居たことは疑う余地がない。しかしばあやは口がきけない。犯人がもし人造人間に号令をかけたものとすればばあやは犯人であり得ない」
「なるほど、するといよいよウララ夫人という順番ですかネ。ウララ夫人の帰宅と、博士の殺害と、どっちが早いのですか」
「さあ、それが判然しない。君も知っている通り死体検索から死期が推定されるが、二十分や三十分のところは、どうもハッキリしないのでネ。……とにかく大江山君もウララ夫
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