か」
「しかし君、人造人間が博士を殺したことが分れば、そんな生きた人間を調べても何にもならんじゃないか」
「いや、人造人間に霊魂がない限り、これは生きた人間の仕業《しわざ》に違いありませんよ」
「うん、この点をハッキリしたいんだがネ、どうも機械というやつは、苦手《にがて》だ。この人造人間がどうして動くかということがハッキリ分るといいんだが。そうだ、帆村に調べさせよう」
「それがいいですね」
 そこで帆村が呼ばれて、この人造人間はどうして動くかを調べるように命ぜられた。
「さあ僕にも、まだ分ってはいないが、馬詰丈太郎氏は、博士の助手を永らくしていたというから、一つ訊いてみましょう」
 帆村は馬詰をつれて、人造人間の前へいった。そしてどうすれば動くかと訊《たず》ねた。
「そうですね。僕はこの新型の人造人間については知らないんだが、一つ中を開けて見てみましょう」
 そういって彼は物慣れた手つきでドライバーを手にとり、人造人間の胴中をしめつけている鉄扉《てっぴ》のネジを外《はず》していった。間もなく人造人間の膓《はらわた》が露出した。膓といっても人造人間のことだから細々《こまごま》とした機械が
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