でしょう。どうです、それにちがいありますまい」
 帆村は、するどく、人造人間の秘密に切りこんだ。
「はははは、そこまで分っていれば、なにもわしに聞くことはないじゃないか。どうじゃ、日本には、人造人間などというこんなりっぱな器械があるかね。いや、ありますよといっても、世界中の誰も信用しないであろう」
 と、博士は、いやなことをいう。帆村は、それには一向とりあわず、さらに一歩前に出て、
「ねえ博士。そこで僕は一つ、あなたに御注意をしますが、どうも、あの人造人間エフ氏は、あなたの自由にならなくなっているように思うんですがね。つまり、エフ氏は、勝手に動きだしているように思うんです。これは、御心配なさらなくてもいいのですか」
 帆村の質問は、たしかに博士の痛いところをついたようであった。それまで、いばって胸をはっていたイワノフ博士が、帆村のこの質問をきくと、急にあわてだした。
 ここぞと、帆村はまたするどく、言葉でもって切りこんだ。
「どうです、博士。人造人間エフ氏は、あなたの心にそむいて、こんなに壁に穴をあけ天井をつきぬき、そのうえどこかへとびだしました。まさか、あなたは、エフ氏に対し、博士が
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