と見ないでいたまえ」と、帆村は正太の頭を抱《かか》えてやった。
人造人間エフ氏は、ますますものすごくあばれる。土をとばし、石塊《いしころ》をとばし、まるで闘牛《とうぎゅう》が穀物倉《こくもつぐら》のなかであばれているようであった。イワノフ博士は、どうしたであろうか。
博士は、向うの部屋で、これも背中を丸めて、じっとこっちの様子を見守っている。
「あっ、たいへんだ。こうでもなければ、これをこう動かしてみるか」
よく見ると、博士は、人造人間の操縦機を前において、しきりに、たくさんのスイッチを切ったり入れたりしているのであった。たしかに、どこかが故障らしく、博士の思うようにはうまくいかないので、よわっているのだった。
「ちぇっ、これでもだめだ。仕方がない。この操縦器を一度分解して、なおすより外ないらしい」
博士は、もう夢中で、額《ひたい》の汗をはらいながら、ネジ廻しをもち出して、操縦器の分解にかかった。そのとき、博士の持つネジ廻しが、どこにふれたものか、ぱっと火花が出た。
「あっ」と、イワノフ博士がおどろきのこえをあげたとき、今まで監禁室《かんきんしつ》であばれていた人造人間は、くる
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