よ」
「なんだ、この少年と似ているのか。ふーん、じゃ、あの化け物もかわいい少年なんだね」
「そうです。似ているというよりも、双生児《ふたご》のように、いやそれよりも写真のようにといった方がいいでしょうが、この正太君そっくりなんです」
「なんだ双生児《ふたご》なのか」
「いや、双生児のようによく似ているというはなしです。それがたいへんおかしい。だから私は、こう考えているのです。あの怪少年は、人造人間にちがいない」
「えっ、人造人間? はははは、君はますますへんなことをいうね」
「いやじつは、さっき正太君から聞いた話で思いあたったのですが、あの怪少年こそ、ウラジオの人造人間研究家のイワノフ博士がこしらえた人造人間エフ氏じゃないかと思うのです。これはこれからのち、よくしらべてみないとわかりませんけれど」
「人造人間エフ氏!」
「いよいよこれはなんだかわからなくなった」
 そういっているとき、さっきから二人の傍《そば》に立って爆発現場《ばくはつげんじょう》を見まわしていた正太少年は、いきなり大きなこえをはりあげ、
「あっ、あそこに大木老人がいる。僕ちょっといって、大木老人にあってきます」
 そ
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