ょっと読みましたが、たいへんな事件ですね。しかし、妹のマリ子が、あのようなおそろしい事件にかかわりあっているとは、僕にはおもわれないのですが――」
「もちろん、マリ子さんにはなんの罪もないのでしょう。マリ子さんと一しょにとびまわっている少年、つまり正太君のにせ者が、いつも先にたってわるいことをしているのにちがいありません。その少年をひっとらえて、あなたと一しょに並べると、これはまたおもしろいだろうとおもいます。じつは、そのことについては、私にもいささか心あたりがあるのです」
「心あたりというと、どんなことでしょう」
「それがねえ――」と帆村探偵は、ちょっと言葉をとめて「いって、いいかわるいか、わからないが、どうもちかごろ怪しい外国人が入ってきて、すきがあれば日本の工場をぶっつぶしたり、軍隊の行動を邪魔したりしようと思っている。ゆだんはならないのです。ことに……」
 といっているとき、扉があいて、帆村の助手の大辻がつかつかとはいってきた。
「先生、いまラジオが臨時ニュースを放送しています。横須賀《よこすか》のちかくにある火薬庫が大爆発したそうです」


   爆発現場《ばくはつげんじょう
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