怪潜水艦と取組む番だ。いつこっちへ、魚雷《ぎょらい》がとんでくるかもしれないから、お前たちはすぐ昇降階段の下へ集っていろ。そしていつでも甲板へとびだせるように用意をしておくんだ。命令をするまでは、甲板へ出てはならない。こっちがうろたえているところを潜水艦にみつかると、都合がわるいからね」
急潜航《きゅうせんこう》
「ねえ船長さん。まだ僕は、なんだかうたがわれているようで、気もちがわるいですね」
と、正太がいった。
船長は受話器をかけながら、ふふんと鼻のさきで笑った。
「この前も信号の煙のでるボールを海になげこんだようにうたがわれ、それを大木さんが口をだしてくれて、うたがいが晴れたはずですが、まだ船長さんたちは僕をうたがっているようです。一体どこがそんなにうたがわしいのですか」
「なにを。君はなんという図々しい少年だ」一等運転士が前へのりだす。
「まあ待て一等運転士。そのことよりも、今はあそこに見える潜水艦から魚雷のとんでくることをしんぱいせねばならないのだ」
「船長。それはわかっていますが、でもこの子供のいうことをきいていると、むかむかしてきてたまりません」
正太は
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