「おい、ハンス。お前は、わしの持っていたB型人造人間の設計図をつかって、その人造人間部隊を作りあげたのじゃろう。双眼鏡で見ると、お前はたいへん得意らしい顔つきだが、B型人造人間なんて、A型人造人間同様に、不完全なんだ。見ていろ。わしが、この釦《ボタン》を押せば、その瞬間に、せっかくの人造人間部隊が、ばらばらになって空中に吹きとんでしまうんだ。さあ一つ、その豪華な爆発作業を見せてやるかな」
と、遠くにいるハンスに向って、モール博士は、さんざんの憎まれ口をきいたうえ、例のスイッチを入れ、そして指先に力を入れて、B型人造人間が爆発分解する釦を、ぽッと押したのであった。
「おやッ!」
叫んだのは、モール博士だ。予期した爆発が、起らないのであった。人造人間部隊は、あいかわらず整然と隊伍《たいご》をととのえて、丘を下りて、こっちへやってくる。
モール博士は、狼狽《ろうばい》の色を、かくそうともしなかった。彼は、二度、三度……いや七度八度と、爆破の釦を押した。
だが、爆発は、いつまでたっても、起らないのであった。
“どうです、モール博士。悪いことは出来ないと、始めて知りましたか”
と、車
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