なスピードで、街道を走って行く無蓋《むがい》自動車があった。
その自動車のうえから、とつぜん、ぴかぴかと、眩《まぶ》しい光線が、閃《ひらめ》いた。なにかの信号のように。
すると、どうしたわけか、私たちののっていた人造人間のスピードが、急におちて、おやへんだと思っているうちに、ぴったりと、道路のうえに、停《とま》ってしまった。
「こんなはずはない。私は、国境附近に達するまで、人造人間を、全速力で走りつづけさせることにしてきたのに……」
と、私は、人造人間が、急に停ってしまったことに、大不審《だいふしん》をもった。
「おい、千吉《せんきち》じゃないか」
太い声が、私をよんだ。
私は、前を見た。いつの間にか、例の怪自動車が、私たちの前に停っていた。そして、車上《しゃじょう》からこっちを向いている髯《ひげ》もじゃの顔!
「おお、モール博士じゃありませんか。これはおどろいた」
ふしぎな再会《さいかい》
モール博士と、行きあったのだ。ふしぎなところで、一緒になったものだ。
「おどろいたのは、わしの方のことだ。君はいつの間に、あの黒い筒の中に入れておいた設計図を使って、こんな人
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