からどうなさるの」
「これから、人造人間の背中に、おんぶされて、ここを脱出するのだ」
「まあ、そんなことが、ほんとに出来るかしら」
 ニーナは、目を丸くしている。

   脱出《だっしゅつ》

「わけなしだ。ニーナ、見ているがいい」
 私は、指揮塔の、配電盤のキイを、ぽンぽンぽンと押した。
 その次の瞬間、私は人造人間が、がちゃンがちゃンと音をたてて、こっちへ歩いてくるのを予想していた。ところが、そうはいかなかった。場内に並んだ人造人間は、林のように、しずまっている。
「へんだなあ」
「それごらんなさい。人造人間は、うごかないじゃありませんか」
「そんなはずはないんだが……今押した人造人間は、故障かもしれない。他の人造人間をうごかしてみよう」
 私は、別なキイを押した。ところが、やはり駄目だった。人造人間は、うごかない。私は、焦《あせ》ってきた。そこで、私は最後の試みとして、あらゆるキイを押して、そこに並んでいる人造人間のすべてをうごかすように試みた。すると、ふしぎにも、最後にキイを押した三人の人造人間が列をはなれて、指揮塔内に入ってきた。私は、涙が出るほど、うれしかった。
「ニーナ、
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