すると君の報告の方が一つ多いね」
署長は鉛筆を嘗《な》め嘗め三個の横に4とかいた。
「第二の、湖尻《うみじり》で村尾某の乗りました舟を探しましたが見当りませんので」
「舟が見当らぬ? そうか。湖水の中を探ってみるんだネ」
「それからトラックの跡で、墓場から青谷二郎の家までついていたという話でしたが、これはハッキリ見えませんでした。誰かが地均《じなら》しをしたような形跡は見ました」
「フン、フン」と署長はまた手帖へ書きこんで「それからあと、どうした」
「次は新仏のことですが、あれは確かにございました。峰雪乃《みねゆきの》の墓です。これは初産《ういざん》に気の毒にも前置胎盤で亡くなりましたので……。この墓については大体おっしゃった通りでしたが、ただ違いますとこは、新仏の上は土が被せてあるというお話でしたが間違いで、もう既に綺麗な土饅頭《どまんじゅう》ができていました」
「ホホウ、そうか」と署長はまた鉛筆を嘗めた。「その次は……」
「もうそれきりです」
「うん、これは御苦労だった。では適宜に引取ってよろしい」
巡査は署長の方へ向いてペコンとお辞儀した後、側を向いてもう一つお辞儀をし、廻れ
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