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隣室の襖ががらりと開く(道夫起き出る)
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道夫 お父さんもお母さんも、やかましくって、僕ねむくなくなっちゃった。久し振りに、レコードでもかけようかな。
母親 これ道夫。
父親 なあに、かけさせておやりよ。お父さんはお前を慰安《いあん》してやろうと思って、そこにレコードを買ってきたよ。
母親 まあ、あなた。一体どんなレコードを買っていらしったの。
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道夫の勉強の邪魔を……。
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父親 まあ、そう心配しなさんな。おれは道夫を喜《よろこ》ばせ、且《か》つ愉快に勉強させてやろうと思って、これを買って来たんだ。これ一名《いちめい》親心《おやごころ》のレコードという。道夫、さあ、かけてごらん。「算術《さんじゅつ》の歌」というラベルの方だよ。
道夫 はい「算術の歌」の方ですね。
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△レコード「算術の歌」賑《にぎや》かに廻《まわ》る。
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底本:「海野十三全集
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