はじめは、同じ頃死んだ同性の者だけの集りである。そして知人は一人も見つからないので心細い。しかし孤獨で暮してゐたときよりは賑やかである。
 一同は、守護靈さんを師として、毎日修行を重ねていくのである。それはなかなか面倒なことであり、娑婆のやうにいい加減で放つておくことは許されないので、骨が折れるさうである。
 やがて試驗の日が來る。この試驗に合格すると、階段が一つ上る。そしていよいよ修行の内容がむづかしくなる。その代り自分の教へ子が成人が出來るし、その世界に於て、行動の自由が少しづつ附與される。
 さうなると、心靈は、その世界を方々見物したり、また自分よりも先に死んで、ここへ來てゐるはずの親類縁者や友人たちを探しまはつて出會ふこともある。
 それから先は、ますます修行を積み、やがて守護靈さんにまで昇格するのを目標として勵むのである。守護靈さんになるには、普通の心靈では、早くても四百年はかかるさうである。
 守護靈さんになると、かずかずの技能が與へられる。一分間に千里を飛ぶことができたり、娑婆へ自由に日がへり旅行が出來たりする。そして守護靈さんだけの第四世へ入籍することが出來、そこ
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