、コロコロ転ってしまってどこかに隠れちまったのです。犯人は色をかえて探したことでしょう。注意深い彼に似合わしからぬ立派な犯跡をのこすことになるのでネ。ところが御覧のとおりダイヤルは受信機の下に転げこみ、所謂《いわゆる》灯台下暗《とうだいもとくら》しの古諺《こげん》に彼奴はしてやられたのです。これも天罰というやつですかな。その上、拙かったことは、警察の連中にダイヤルの一つ欠けた受信機に気付かれ、不利な探索の行われるのを恐れたので、そのあとには同じ形の新しいダイヤルをつけて置いたのです。これが反って私に発見されたことになったじゃありませんか。――そして隠れたダイヤルの裏には、その男の指紋がありありと残っています。恐ろしい犯人の名は、勝見伍策と名乗る奴です」
「それでは、あの勝見さんが、犯人なのでございますか。しかしあの方は、姉の死には無関係だと伺いましたが……」
「そうです。本当の勝見伍策は、たしかに殺人犯人ではありません。そしてたしかに彼は島に暮しています」
「では、家に居るのは本当の勝見ではなかったのですか、まア……。しかし一体あれは誰でございましたかしら」
「お嬢さんは勝見が笛吹川画
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