にしている伯父《おじ》黒河内子爵《くろこうちししゃく》のところへ帰ってゆくことをやめ、深山研究室の中にベッドを一つ置き、学士と共に寝起きすることとなった。碌《ろく》に睡眠時間もとらないで、この組立に急いだ結果、四日という短い日数《にっすう》のうちに、新しい第二装置ができあがった。しかし学士はあの事件以来、何とはなく大変疲れているようであった。その一方、白丘ダリアは益々《ますます》健康に輝き頸《くび》から胸へかけての曲線といい、腰から下の飛び出したような肉塊《にくかい》といい、まるで張りきった太い腸詰《ちょうづめ》を連想《れんそう》させる程だった。従って第二装置の素晴らしい進行速度も、ダリアの精力《せいりょく》に負うところが多かった。
 研究室の扉《ドア》をコツコツと叩くと、直ぐに応《こた》えがあった。入口が奥へ開かれると、そこへ顔を出したのは、頭に一杯|繃帯《ほうたい》をして、大きな黒眼鏡をかけた若い女だった。先登《せんとう》に立っていた課長は、
(これは部屋が違ったかナ)
 と思った位だった。
「さあ、皆さんどうぞ」
 そういう声は、紛《まぎ》れもなく白丘ダリアに違いなかった。どうし
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