ったのです。私は吃驚《びっくり》して跳ね起きました。すると、あの赤外線テレヴィジョン装置がグラグラと独《ひと》り手《で》に揺《ゆ》れ始めました。オヤと思う間もなく、装置の蓋《ふた》が呀《あ》ッという間もなく宙に舞い上り、ガタンと床の上に落ちました。私が呆然《ぼうぜん》としていますと、今度はガチャーンと物凄《ものすご》い音がして、あの装置が破裂したんです。真空管《しんくうかん》の破片《はへん》が飛んできました。大きな廻転盤が半分ばかりもげて飛んでしまう。つづいてガチャンガチャンと大きなレンズが壊《こわ》れて、頑丈《がんじょう》なケースが、薪《まき》でも割るようにメリメリと引裂かれる。私は胆《きも》を潰《つぶ》しましたが、ひょっとすると、これはこの装置で見たことのある赤外線男ではないかしらと考えると、ゾーッとしました。見る可《べ》からざるものを視た私への復讐《ふくしゅう》なのではないかしらと思いました。私はソッと逃げ出し、室の隅ッこにでも隠れるつもりで、寝床《ねどこ》から滑《すべ》り下《お》りようとするところを、ギュッと抱きすくめられてしまいました。それでいて身の周《まわ》りには何の異変も
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