、いつそんなことをお測《はか》りになりましたの」と、光枝は思わず愕《おどろ》きの声をあげた。


   科学探偵の腕


 帆村探偵は、一向平気な顔で、
「これは内緒《ないしょ》ですが、貴女も探偵だからいいますが、僕のところでは、訪問者が入口のところに立ったとき、自動的に身長を測ることにしています。もちろん光電管《フォト・セル》をつかえば、わけのないことです。あの入口の上をごらんなさい。一・五七と、まるでレジスターのような数字が幻灯仕掛《げんとうじかけ》で出ているでしょうが」
「えっ、まあそんなことが……」光枝がふりかえると、なるほど入口の上の壁紙《かべがみ》に、一・五七という数字がでている。
「こうすれば、消えます」なにをしたのか、帆村がそういうと、数字はぱっと消えた。まるで魔術を見ているような塩梅《あんばい》だった。なるほど帆村探偵という人は変っていると、光枝は感心した。
「貴女は内輪《うちわ》の人だから、もう一つこれも御なぐさみにごらんにいれるかな。さあ、この写真はどうです」そういって帆村は、手にしていた水のまだ切れない三枚の細長い写真の表をかえして、光枝の方に押しやった。
「あ
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