じゅうそうしゃ》が始まったので、すぐ柿《かき》の木へかけあがったわけである。
「お前はどこまで剛情《ごうじょう》なんだろう。そんなに拷問されたいのか。それでは」
「待って下さい。ほんとにぼくは、この人を知りませへん。うそやありません。この人に聞いてもろうてもよろしい」
牛丸少年は重《かさ》ねて同じ主張をした。
戸倉老人は、さっきから下を向いたままで、目を開かない。牛丸少年の顔を見ようともしないのであった。
老人の心の中には、今はげしい苦悶《くもん》があった。それは今彼のそばにいる少年が、春木清にちがいないと誤解していたからだ。死にゆく自分を介抱《かいほう》してくれた親切に、あの黄金メダルを少年に贈ったが、それが祟《たた》って、少年はこうして四馬剣尺のために自由を奪われ、ひどい責めにあっていると思えば、老人の胸は苦しさに張りさけんばかりであった。老人は、この気の毒な少年の顔を一目でも見る勇気がなかった。少年に何とあやまってよいか、老人の立ち場はひどく苦しいのであった。
「剛情者《ごうじょうもの》が二人集った」
と頭目は牛丸や戸倉老人のことをいった。
「よし、それでは、のっぴきなら
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