しようもない。
 牛丸平太郎は、みんなにかわいがられていた少年だから、この誘拐《ゆうかい》事件の反響も大きかった。ことに、その前に春木君が山の中で、行方不明になった事件のとき、牛丸君が誰より早くこれを知らせたことで、牛丸少年を知っている人は多かった。
 春木としても、一番仲よしの友だちを、そんなひどい目にされたので、くやしくてならなかった。それで、ぜひ捜査隊《そうさたい》の中へ加えて下さいと、先生にまでとどけておいたほどである。
「ああ、そうか。それはいいね。この前は、牛丸君が春木君の遭難を知らせた。こんどはその恩がえしで、春木君が牛丸君を探しにいくというわけだね。まことにいいことだ」
 と、受持の主任《しゅにん》金谷《かなや》先生は、ほめてくれた。
「先生。牛丸君は、なぜさらわれていったのでしょうか」
 その時春木は、先生にたずねた。
「それがどうも分らないんだ。牛丸君の家は旧家《きゅうか》だから、金がうんとあると思われたのかもしれないな。そんなら、あとになって、きっと脅迫状《きょうはくじょう》がくるよ」
「脅迫状ですか」
「うん。牛丸平太郎少年の生命《いのち》を助けたいと思うなら、
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