ない。そうだとすると、あそこへ大切な宝ものを持っていくのはやめたがいいのだ――と、春木少年は考えたのである。
黄金メダルは春木少年の身体をはなれたので、彼は身軽《みがる》になった。彼は崖の小道を、すべるようにかけ下り、牛丸君の家の方へ走っていった。
息せき切って、牛丸君の家の前へいってみると、はたしてそのとおりだった。牛丸君のお父さんやお母さんが気が変になったようになってさわいでいた。近所の人々も、だんだん集ってきた。そのうちにエンジンの音がして、警官隊が自動車にのって、のりつけた。
牛丸君のお父さんの話によると、四名の怪漢《かいかん》がはいってきて、ピストルでおどかしたそうである。強盗と同じだ。そして牛丸君をひっとらえると、ちょっと用があるからきてくれ、生命には別条ないから心配いらない、しかしいうことをきかないと痛い目にあうぞ、といって、牛丸君を外へつれだしたという。家の人はピストルでおどしつけられ、縄でぐるぐる巻きにされていたので、牛丸君を助けることができなかったということだ。
それから先のことは、春木少年がお稲荷《いなり》さんの崖の上から月明《つきあ》かりに見ていたとおり
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