遂にいわなかった。彼は、そのことについて牛丸に話すこともしなかった。彼は、このことについてゆっくりと、自分でできるだけの研究をしてみたいと思った。その上で、話した方がいい。時がきたら、牛丸にも話をするつもりだった。
 なにしろ瀕死《ひんし》の戸倉老人が彼に残していったことばによると、黄金メダルの件は、非常な機密であって、うっかりこれに関係していることを洩《も》らしたが最後、思いがけないひどい目にあうにちがいないと思われた。現に、あの好人物《こうじんぶつ》の老人がむごたらしく瀕死の重傷を負っていたこと、それにつづいて牛丸君が見たとおり、老人がヘリコプターで誘拐《ゆうかい》されたそのものものしさから考えて、これはうっかり口にだせないと、春木少年を警戒させたのだ。
 だが、春木少年は、その謎を秘めた宝の鍵・黄金メダルの片われと、小文字でうずめられた絹《きぬ》ハンカチの焼けのこりを、いつまでも厳封《げんぷう》して机のひきだしの奥に収《しま》っておくことはできなかった。それは三日目の夜に入ってのことであったが、春木君は自分の勉強部屋にはいって、ぴったり扉をしめて錠をかけ窓にはカーテンを引き、それ
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