はまずいなあ。かんじんのものに傷がつくおそれがある」
「じゃあ、どうしたらいいというんだ」
「その黄金三日月とやらは、もちろん、金属でしょう。義眼は樹脂《プラスティック》だ。それならば、その義眼を、ここにあるX《エックス》線装置でもって透視《とうし》すれば、いともかんたんに問題は解決する。なぜといって、X線は、樹脂をらくに透すが、黄金は透さない。だから、中にある黄金三日月が、かげになって、ありありと蛍光板《けいこうばん》の上にあらわれる。どうです。いい方法でしょうがな」
 と、机博士はうしろから携帯用X線装置を持ちだしてきて、頭目の前の卓子の上においた。この装置は、さっき戸倉の胸部《きょうぶ》の骨折《こっせつ》を調べるために使ったものであった。
「これは名案だ。じゃあこれにX線をかけて見せてくれ」
 と、頭目は、あんがいすなおに頼んだ。
「よろしゅうござる」
 博士はそういって、装置からでている長いコードの先のプラグを、電源コンセントにさしこんだ。それからぱちンとスイッチをひねって、目盛盤を調整した。すると光線|蔽《おお》いのある三十センチ平方ばかりの四角い幕を美しい蛍光が照らした。こ
前へ 次へ
全242ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング