》を持ってこい。急いで持ってこい」
 と、頭目は命令した。
「はい」と返事をして木戸が引込んでから、再び彼がこの部屋にあらわれるまで、ちょっと時間があった。一座は、ここでほっと一息いれた。
 机博士は、戸倉老人の腕に、強心剤《きょうしんざい》の注射を終えると、自分の指先をアルコールのついた脱脂綿で拭《ぬぐ》って、それからぎゅッとくびを延ばして背のびした。
「ねえ、頭目。もう一回、今みたいな手あらなことをなさると、わが輩《はい》はこの人物の生命について責任をおいませんぜ。これで二度目の警告です」
 と、机博士は、しずかにいい放った。これに対して頭目はだまりこくっていた。博士は、肩をすぼめた。
 そこへ木戸がもどってきた。頭の大きな金槌を頭目に渡す。
「これでいいんですかね」
「うん」
 頭目は、卓子《テーブル》の上に義眼をおいた。そして金槌を握った右手をふりかぶって、義眼の上に打ち下ろそうとした。
「頭目。ちょっと待った」
 と、声をかけた者がある。机博士だった。
 頭目はいやな顔をして、博士の方へ首を向けた。
「頭目。金槌で義眼をうち割って、中のものを見ようというんでしょう。しかしそれ
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