まだだろ。それじゃ、前祝《まえいわ》いに夕飯を御馳走しよう」
 と、親切な小玉氏は、五少年をひきつれて、近所の中華料理店へいって夕飯をふるまった。
「それじゃ、君たちの成功をいのるよ。しかし、くれぐれもいっとくが、自分たちがまだ子供であることを忘れちゃいかんよ」小玉氏から激励《げきれい》と忠告《ちゅうこく》をうけて、中華料理店のまえでわかれた五少年が、すでに日の暮れた路《みち》を、ビルディングのほうへかえってくると、そのとき、万国骨董商のなかからとびだしてきた婦人があった。
「あっ、あれは立花先生じゃないか」春木少年がいちはやく、先生のすがたを見附けて注意すると、
「そうだ、そうだ。立花先生だ。先生は、なんの用があって、こんなところへきたんやろ」
 牛丸平太郎も不思議そうな顔をしている。小玉、横光、田畑の三少年もギックリとしたような顔を見合せた。しかし、幸い立花先生は気がつかなかったらしく、男のような足どりで、スタッスタッと黄昏《たそがれ》の闇のなかに姿を消した。
「どうも変だね。ぼくはまえから、立花先生を変だと思っていたんだよ」
 春木少年はあるきながら、考えぶかそうに呟《つぶや》い
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