手足はぐるぐるまきにされ、椅子にしばりつけられてあった。小竹さんの目だけは自由に動いていた。いつもの睡《ねむ》そうなにぶい光の目ではなく、いきいきとした目つきで、みんなの顔を見ていた。恨《うら》めしそうでもなく、いかりにもえている様子もなかった。
「それじゃ、わしたちはでかける。あとは頼みます。これから毎日、あんたの無事を祈る。短気《たんき》をおこさぬようにな」
と、戸倉老人は、小竹の肩をかるく叩いて、眼に涙をうかべた。すると小竹は、二三回あごをしゃくってみせた。
「早くゆきなさい」と、いそがせているようだ。これでみると、戸倉老人と小竹との間にはひそかなる了解《りょうかい》があることが明らかだった。小竹がしばられたのも、二人|合意《ごうい》の上のことであるにちがいない。
そこで戸倉老人につれられ、春木と牛丸の二人は、山塞を逃げだした。どういくと抜け道にでられるか、そのことは戸倉老人がよく知っていた。要所要所の扉をあける鍵もちゃんと持っていた。あける前に、警鈴用《けいれいよう》の電気装置をうまく処分《しょぶん》することも、やはり老人が知っていた。
それより牛丸少年がおどろいたのは、
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