れるときに、机博士は、顔をうんとしかめたのだ。その上に目かくしをされ、あとでしかめ面《つら》を元に直すと、すこし目かくしがゆるくなる。これは前から博士が知っていた術である。今うっすらと、足許《あしもと》の方の明るさが見える。明るさだけではなく、物の形が見えないものかと、博士は目かくしの下で、しきりに目をくしゃくしゃやってみた。
 しばらく彼のところを離れて、向こうでなにかやっていた猫女が、このとき博士のそばへもどってきた。
「さあ、こっちへおいで」博士は又歩かされた。ごつごつした岩の上を歩かされた。崖《がけ》の端《はし》までいくらも距《へだた》っていない。足を踏みはずしてはたいへんだ。
「そこでストップ。さて、これから二三秒の間、息をとめているがいいよ」
 猫女が、妙なことをいった。机博士は聞きかえしたかったが、ものがいえない。それで一生けんめいに目かくしの隙間《すきま》から、何でもいいから見えるものを見たいと努力した。
 岩かどが見えた。
(あッ、おれは今、崖の端に立っている!)
 机博士は戦慄《せんりつ》した。たいへんだ。足を踏みはずせば、崖下に落ちていって、骨をくだいて人生にさよ
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