とれるだろうか。牛丸少年はそれを宿題として考えはじめると、すこしもたいくつでなくなった。ただし、この宿題の答は、かんたんにはでてこなかった。
「戸倉老人の監房は、もう一階下にあるんだな」やっとこの答が少年の頭の中に浮かんできた。それは小竹さんが食事をはこぶときの行動で、それと察したのである。
 なぜかというと、小竹さんが食事を持ってくるときは、それを手さげ式の金属製の岡持《おかもち》に入れて持ってくる。そして牛丸少年の監房の前に止まって、食事をさし入れる。それから小竹さんは、ずんずん奥へ歩いていくが、小竹の足音と岡持のがちゃがちゃ鳴る音が、やがて階段を下っていくのが分る。それから五分ほどすると、小竹さんは引返してきて、牛丸の監房の前を通りすぎる。これによって考えると、戸倉老人は、もう一階下の監房に入れられているらしい。
(一階下にあのおじさんが入れられているんだったら、ぼくと話をするのはちょっとむずかしいことになる)
 少年は、ざんねんに思った。
 しかしなにかうまい方法を考えつくかもしれないと、その後も頭をひねって、監房の前の交通に注意を怠《おこた》らなかった。
 机博士が、朝早く一
前へ 次へ
全242ページ中123ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング